2013-11-09

病院で、茶髪でショートカットの、若い、ギャルっぽいお母さんがいて、5歳くらいの息子と、3歳くらいの娘と、2人の子供を連れていて、息子の方は自分で絵本をシャキシャキ音読していて、その内容、物語の詳細はよくわからなかったのだが、どうやらモモンガが出てくる話らしいことだけなんとなくわかった。娘の方はまだ自分で本を読むことができないのだろう、茶髪のお母さんがべつの絵本を読んであげていて、そちらの方に僕はわりと気を取られていた、というか、かなり近い距離にその親子が座っていたので、どうしてもそちらの方が自然と耳に入ってきてしまう。息子は僕からはやや離れたところに座っていた。しかし声が元気がいいのでその声は遠くからでもよく聞こえた。ただ、さすがに一度に双方の内容を聞き分けて処理することは不可能なので、どちらかの声に耳を傾けると一方は入ってこない。そういうものだろう。で、お母さんが娘に読んであげていた本なのだけど、まず大きいライオンが出てくる。お母さんの声はハスキーでいい感じだ。台詞にもちゃんとそれなりに、その動物になりきる気持ちがこもっていて良かった。大きいライオンはウサギを食べようとしていて、でもウサギは食べられそうになる直前に、ちょっと待った! と言う。ここでなぞなぞです、と今にも食いつかんとしていたライオンをすんでのところで押しとどめる。わたしがいまから出題するなぞなぞに答えられたら、あなたはわたしを食べてもいい、だけどもし答えられなかったらわたしはこのまま家に帰る、それでどうか? と取引を持ちかけ、そう言われたライオンは最初、なぞなぞぉ? みたいなことを言うのだが、すぐ不敵に笑って、自分はなぞなぞは得意中の得意だと豪語する。それでは問題です。上は洪水、下は大火事、これなんだ? ……僕は一瞬結構真剣に考えたけど分からなかった。ライオンは答える。そんなの簡単だ、風呂だろう? ザンネン、違います。ウサギは言う。答えは海底火山です。……え? マジか。そんな答えなのか。 はあ? ふざけんな何なのだそれは。憤るライオン。まあ無理もない。でもよく考えてみて。海底の火山だよ? お風呂なんかよりもよっぽど洪水だし大火事じゃない? まあ、そうか。言われてみれば確かにそうだなあ。ライオンは意外とあっさりと納得してしまう。そこからどういう経緯を経てそういうことになったのか、前の座先に座っていた寝癖が物凄い小学生が読んでいた漫画を、後ろから覗き込んでいたら、いつの間にか、ライオンとウサギはウサギの自宅に2人?でいて、ウサギはこう言うのだった。わたしを食べてもいいけれど、食べる前にお風呂に入らせて。わたしのからだは汚くてくさいから、お風呂に入って綺麗なからだになってから、食べてほしいの。じゃあ俺も一緒に入るとしよう。 とライオンは言ってウサギとともに風呂に入る。この展開には意表をつかれて、それはここまで淀みなく文章を読み上げていたお母さんも同様だったようで、え、ライオンも入るんだ!? と若干素っ頓狂な声をだして驚いていた。そこで僕は名前を呼ばれたから続きは知らない。