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たしか先月だったと思うけど、書き忘れていたので、べつに書くほどのことでもないけど書いておくが、週末の夜(それほど遅い時間ではなかったと思う)にドンキホーテに行ったところ、向かいから一本下駄をはいたやつが歩いてきたので一瞬目を疑った。しかもその歯はけっこうな高さがあって、たぶん30センチとかそのくらいだった。でも全然ふらついたりしないで、余裕綽々ではきこなしている感じで、そいつはしゃんしゃん歩いていた。身なりはごく普通というか、正直一本下駄に気を取られすぎてあまり印象にないのだけど、ありふれた、しかし逆にどこに行けば買えるのか訊ねてみたいような気もする、そんな地味な色のトレーナーとズボン、みたいな服装だった。スポーツ刈り然とした頭にメガネを掛けた、ぱっと見、失礼ながら実に冴えない、放送部員的なルックスの、中学生くらいの少年だった。どうしてドンキホーテなんかに、こういう人と物とがごちゃごちゃしたような施設に、しかも田舎だからどうしたって目立ってしまうことは分かりきっているのに、一本下駄などはいてきたのか、まあたぶん日常的にどこへ行くにも彼は一本下駄をはいていて、学校にももしかしたら一本下駄で登下校してるのかもしれないが、その神経の太さには頭がさがる思いがした。いや、そこまでは本当は全然思ってないが。