2013-10-02

ピンポンのない飲食店というのはわりとあって、そういうところに行って、お冷やとメニューを出されて、決まったら呼んでください、みたいなことを言われるのはいいのだけれど、注文するものが決まったのでよし店員を呼ぼう、と思っても、たいていなんだかやたらと忙しそうだったり、ずいぶん遠くの方にいたり、はたまた完全にこちらに注意を払っておらず同僚とにこやかに雑談していたりするので、非常に声がかけづらい。というか、声をかけても僕の声ではまず耳に届かない。一応軽く手を挙げて、ここに空腹な人間がいますというアピールもする。それでもダメなときはひたすら店員が近くに来るのを待つ。僕より後から入ってきた隣の座席の客がよく通る声で店員を呼び注文をすませたのを見計らってすかさず「すいません!」と声をかける。しかしそれでも「少々お待ちください!」と後回しにされることも。そんなときは用を足しに行くふりをして立ち上がり、自ら店員に接近していって注文をする。これなら確実かというとそうでもなくて、店員にしてみたら、僕がどの座席の客かわからないので逆に仕事を煩雑にさせてしまい、最悪注文をすませたもののいっこうに料理が出てこない、なんて事態になる。それでこの間も例によって、そういうピンポンのない店で、何回かすいませんを連呼するのだが全然店員に僕の声は聞こえておらず、心がくじけそうになっていたら、そのカウンター席の隣にいた若いOL風のお姉さんが僕の代わりに「注文いいですかあ」と声をかけてくれた。何でそうわかったかというと、すでにその人のところには料理が運ばれてきていたからだった。それですぐに店員が飛んできて、僕は無事注文することができて助かった。