内田徹治は良い男
めっきり映画館に足を運ぶ回数が減った。
自宅でDVDを見る機会も最近は殆どないに等しい。
しかしそんな無気力な自分を鼓舞してくれる素晴らしい映画に出会った。
「共に行く道」
老人が老人を介護する、いわゆる老老介護を題材としたドキュメンタリーである。
監督は御年80歳(!)の内田リツ子さん。
彼女は出演、撮影、編集、ナレーションまで、すべてを1人でこなしている。
認知症の夫と、夫を介護する自分。2人の暮らしを
絶妙としか言いようのない呼吸で捉えたこの映画は、 <東京ビデオフェスティバル2009>において大賞を受賞した。
個人的にはイーストウッド(御年78歳)の「グラン・トリノ」と双璧をなす傑作だと思う。
「グラン・トリノ」のラストと「共に行く道」のラストは驚くほど酷似している。
「グラン・トリノ」のラストがそうであったように、「共に行く道」のラストで聴こえる声はあの世からの声だ。
付け加えるなら、「共に行く道」のラストに映し出される桜並木は天国の風景だ。
・・・「グラン・トリノ」を観ていない方は俺のこんな話を何のこっちゃと思うかもしれない。
しかし、この世界は意図せざる無意識の領域で互いにつながっている。
呼応し合っているということはたしかかもね。
よくわかんないけど。
とにかく「共に行く道」はとても面白い映画だということはハッキリと言える。
この映画には現実への驚くべきまなざしがある。
そしてなによりユーモアがある。