2013-01-07

• 大晦日の夜、実家へ帰る車中でラジオつけたらば、本が好きなおじさん、というかおじいさん、が出ていた。声からするとおじいさんか。女性のDJと何やら世間話をしていた。本好きなどと書いたが、そのおじいさんが何者なのかは、番組の中途からのリスニングであったため、よくは分からない。その辺の道を歩いている素人の老人を捕まえてきて、ラジオ番組に無理矢理出演させているなんていうことはないだろうから、まあ、べつの、もっとちゃんとした肩書きがあるに違いない。でもとりあえず本はたくさん持っている人らしいということは、トークの話題にのぼっていたので確かである。
で、話題はおじいさんの息子の話に。おじいさんの息子は現在青森に出向していて、いわゆる単身赴任みたいなことらしく、年末のこの時期だけ実家のある大分県に帰省中とのことであった。自分の会社ではない、別会社に、まさに単身で勤務させられていて、レオパレスみたいなところに住まわされているんじゃよ。と言っていた。じゃよとは言ってないな。へー大変ですねーと女DJ。5時を過ぎると帰りのバスがないから、残業は一切出来なくて、毎日定時できっちり帰る。それで、夕方から夜、床に就くまでの間、やることがない(住居の周りに何もない )ので、仕方なくテレビとか見て過ごしてるという息子に、おじいさんは、だったらお前本を読めと言って、まさに大晦日の今日、その息子を連れて本屋に行って来て、いろいろ買ってやったんじゃよ。と言っていた。ここでもじゃよとは言ってなかったか。
何を買ってあげたんですか?とDJの方が質問をすると、 夏目漱石の、三四郎、それから、門、いわゆる前期三部作を買って与えてやったら、帰ってからなにやら熱心に読んでおったわい。とおじいさんは答えていた。おったわい、などとは勿論言ってませんね、はい。と、そこで車は途方もなく長いことで有名なトンネルに突入した。当然電波は断たれ、ガーーッというノイズだけになる。トンネルを抜けたころには、番組はとっくに終了しており、というか、もう、その時点でいつの間にか年が明けていた。明けましておめでとうございます!

• background music The Jimi Hendrix Experience - 'Killing Floor'