いまを生きる

f:id:bareisyo:20150310204837j:plain


色即ぜねれいしょん」を観てきた。物語自体はなんてことない、ありふれた青春もの(といっては失礼か。でもべつにけなしてるわけじゃなく、普遍性のある題材を真っ当に面白いエンターテイメントとして仕上げている手腕にはただただ感心させられる)
しかしそれ以上にぼくが目を見張ったのは、主役の少年の存在感だった。彼は一体何者なのだろう。映画初主演とは思えない演技の達者ぶりが見事、とかそんな次元を越えて、何か得体の知れない生物をつぶさに観察しているかのような、そんな気分になってくる。あとで知った事実だが、彼は黒猫チェルシーなるバンド(なんとメンバーは全員90年代生れ)のフロントマンとして活躍しているのだそうだ。映画のラストで彼が披露するパフォーマンスは確かにかっこよかった。
リンダリンダリンダ」とかもそうだけど、こういう映画を見ると何故自分はもっと若いころに楽器を始めなかったんだろうと、激しい後悔に襲われる。いまの年齢でギターを覚えることが遅いというわけではなかろうが。とにかく映画を見終わり、エンドロールで村八分のカバー「どうしようかな」が流れるなか、じっとしていられないような、じれったい気持ちになった。今すぐ何か(とは何か?)しなければ。映画館をあとにする自分はもはや、映画を見る前とは違う人間になっている。これは決して大袈裟な物言いではない。実際ぼくは歩き方さえ変わってしまったのだ。まあ単に影響されやすい人間だってことなのかもしれないけど。
とりあえず抑えがたい衝動を発散するかのように買い物をする。こういうところが自分の器の小さいところだろう。深夜に車をかっ飛ばし(とはいえ法定速度はもちろん遵守して)、カーステでいま見たばかりの映画のサントラを鳴らしながら、声高らかに歌を歌う。セックスなんて ラララ ラララ ラーラー したいと思わない セックスだけが ルルルルルル ルールー したいわけじゃない… 信号待ちで隣の奴がこちらを訝し気に見ているが、そんなの知ったことか!